食べる人はもちろん、生産、製造、販売にも欠かせない食品分析データベース

おいしいものを食べたいという消費者の願い。味のおいしさだけでなく、栄養や安全性も気になるというニーズも増えています。そのような食の安全安心と深い関わりを持つのが、食品分析データベース。食品に含まれるビタミンやミネラルなど、栄養成分に関わる分析から、食品の添加物や残留農薬など安全性に関わる分析、遺伝子組換え食品やアレルギー表示まで、食品分析データベースの周辺事情をご紹介します。

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食品分析データベースとは

食品分析データベースとは、文字通り食品分析のデータを蓄積したデータベースを意味します。ひとくちに食品分析といっても、その応用範囲は幅広く、食べる人はもちろん、生産者や製造業者、販売者にも関係のある分野なのです。

たとえば、食べる人にとっての関心事のひとつに栄養成分があります。普段の食事で栄養を気にしたことはありますか?タンパク質やビタミン、ミネラルなど、不足しないように摂ることが大切だといわれるけれども、すべての食品の栄養素を把握するのは難しいですよね。

そこで活躍したいのが食品に含まれている栄養成分の基礎データを整理した、食品分析データベースです。食品分析データベースの中でも、最もポピュラーなデータは、文科省が運用管理している食品成分表です。国が調査、分析しているものなので、学校や病院などの給食の献立を作るときなどに利用されているほか、栄養学や医学などの研究にも使われます。

意外と古い、食品分析の歴史

食品の基礎データの公表がはじまったのは、なんと1950年から。最初は日本食品標準成分表で、その後は掲載する食品数も増えていき、現在の日本食品標準成分表2015年版(七訂)が公表されています。お米などの穀類のほか、野菜、魚、肉、油、調味料、加工食品など様々な種類の食品を分析し、どんな栄養が含まれているのかが記載されています。

日本食品標準成分表が公表されたときには、538点だった食品数も現在では2000点を優に超える食品が網羅されています。

食品の分析データでわかることは?

食品分析データは、私たちの暮らしと深い関わりがあります。たとえば、パンやおにぎりの表示を見るとカロリーが記載されていますよね。このカロリー計算の元になっているのが、食品成分データベースです。筋肉や骨など人の体を作る上で欠かせないタンパク質や、体のエネルギー源となる糖質や脂質、内蔵など体内の器官がスムーズに働かせるために使われるビタミンやミネラル、さらに不要なものを排出するために使われる食物繊維もわかります。

また塩分が気になる人も増えていることから、食品成分データベースには塩分の含有量も記載されています。

食品の安全にも欠かせない

食品分析データベースは、消費者の人だけでなく、食品の製造販売を行うメーカーにとっても必須なのです。たとえば、加工食品など包装された食品のラベルには、賞味期限や栄養成分などが記載されています。これは消費者の人が安心して食べられるように、食品表示法という法律によって原則的に義務付けられているのです。

食品表示は、食品衛生法やJAS法、健康増進法と3つの法律に関係しており、原材料名と内容量、保存法、原産地、アレルギー、添加物、栄養表示、賞味・消費期限などを表記するようにルール化されています。その中で栄養成分に関しては、これまで任意表示とされてきましたが、2020年4月からは義務化されています。

栄養成分表示の義務化に向けて

2020年4月から義務化される栄養成分表示では、カロリー、タンパク質、脂質、炭水化物、食塩相当量の5つの項目の記載が必須項目となっています。

これらは健康維持はもちろん、生活習慣病にも関係のある成分であるため、表示が義務付けられているのです。また、カルシウムや鉄分などのミネラルのほか、ビタミンA・Cなどのビタミン類、n-3系脂肪酸、コレステロールといった、栄養成分は任意で記載することが可能です。

栄養成分表示の義務化の背景にあるのは、人々の健康づくり。日頃食べる食品から、どんな栄養を摂って、どんな栄養を減らしていけばよいのかという目安として、栄養成分表示が活用されるのです。この栄養成分表示の表示値を算出するために、食品分析による検査のほか、食品分析データベース等からの計算する方法も認められています。

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ますます注目される食品分析のニーズ

食品の基礎データを集積した食品成分データベースだけでなく、食品分析そのもののニーズも高まってきています。原材料の供給ルートから、製造、加工、流通、店頭に並ぶまで食品の安全安心へのニーズは年々高まり、食品に関するきめ細かな品質管理が求められています。

食品の栄養成分を分析するサービスは、以前からニーズの高い分野でしたが、残留農薬、放射線物質など食品の安全性に直結する分野も注目されています。その理由のひとつはGAP認証にあります。そもそもGAPとは、Good Agricultural Practiceの略語で良い農業のやり方を意味します。

そうした農業生産工程管理を第三者機関によって、客観的に証明されていることがGAP認証です。今後、生産者がGAP認証を導入する取り組みが広がっていくといわれています。

遺伝子組換え食品の検査

食品分析が行われている分野は多岐にわたり、食べ物に関する分析としては遺伝子組換え作物や食物アレルギーの分析もあります。遺伝子組換え食物が認められている日本では、その安全性評価は内閣府の食品安全委員会によって安全性の確認を行っています。

遺伝子組換え食品は、大豆やトウモロコシ、ジャガイモ、パパイヤ、米など8つの作物が認められ、市場に流通しています。加工食品の原材料に、それらの遺伝子組換えされたものが使用されているかどうかを検査する、食品分析もあります。

食物アレルギーの食品分析

食物アレルギーに関する項目も、消費者にとって関心の高い情報です。法律で「特定原材料」として表示が定められているのは、卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かにの7品目。これらは、食品アレルギーの原因物質とされ、症例やアレルギーを起こした際の重篤度も高いことから、表示が必要とされています。

この他、あわび、いか、いくら、オレンジをはじめ、健康被害が確認された20品目は、「特定原材料に準ずるもの」として任意表示が推奨されています。確かな品質と安全を保つために、食品に携わるすべての人にとって重要な役割を担う食品分析。

様々なサービスが登場し、分析データが蓄積されていくことにより、食の安心に関するこだわりもますます高まっていくでしょう。食品分析データベースの世界は、まさに多様化の時代を担う集合知といえます。